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第102話 無事に生まれるといいですね

last update Tanggal publikasi: 2026-07-31 20:15:54

 その答えを待つ数秒が、やけに長かった。

 女医は検査結果へ視線を落とした。

「検査の結果ですが」

 膝の上で、予約票の端を握る。

 悪いほうの想像が先に浮かんだ。

 薬が合わなかったのか。

 何か、見過ごせない数値が出たのか。

 しばらく治療を休みましょうと、言われるのか。

 隣で、朔弥さんの手に力が入った。

「妊娠されています」

 何を言われたのか、すぐにはわからなかった。

 妊娠。

 何度も責められる材料にされた言葉。

 まだかと追い立てられ、期待することさえためらうようになった言葉。

 それが今、女医の落ち着いた声で告げられている。

「……本当ですか」

 聞き返した声は、自分のものではないみたいだった。

「はい。ただ、まだごく初期です。これから慎重に経過を見ていきましょう」

 私は膝の上の予約票を見た。

 さっきまでただの紙だったものに、急に意味が生まれている。

 お腹に手を当てた。

 昨日までと何も変わらない。痛くもないし、重くもない。ここに何かがいると言われても、まだ信じられない。

「真尋」

 隣から名前を呼ばれた。

 朔弥
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